オンライン トレードの分かりやすい記述

手形・小切手は、現在の企業活動や個人生活のなかで、キャッシュレスの決済や企業間の信用供与などのために、なくてはならない道具として、広く利用されています。
しかし、一面、手形・小切手はどこの国でも、法律にもとづく産物であり、どのような証券が手形または小切手と認められるかをはじめ、手形または小切手として有効に機能するために必要な記載、譲り渡しの方法、支払いおよび支払い拒絶の場合の取り扱いなども、法律を離れて理解することはできませんから、若干とりつきにくいことも否定できません。
本書は、このような手形・小切手についての基礎的な知識を、できるだけ解り易くしかもコンパクトにまとめたものです。
執筆にあたり特に心がけたのは、法律の規定を踏まえながらも、手形・小切手の実際の利用を重視し、銀行の当座勘定・貸出取引や手形交換所における決済など、現実に手形・小切手が取り扱われている姿を描き出すようにした点です。
活きた知識を身につけていただくために、手形・小切手のサンプルを使って、説明の一助とし、銀行業務のコンピュータ化にともなう手形・小切手上のしかけなどについても、できるだけ、あるがままの見本を示しました。
特に、学窓を巣立って就職された方々や事業経営に努めておられる方のお役に立つように配慮したつもりです。
実際に決済されている手形・小切手は、東京手形交換所の資料によると、小切手七〇%、手形三〇%程度の比率になっていますが、本書においては、小切手よりも手形を中心に説明しました。
手形のほうが、信用供与の側面をも備えていて、比較的複雑であることを考慮したためです。
手形・小切手の法律的または経済的に優れた著書は少なくありません。
読者の皆さんは、本書によって、手形・小切手についての一応の基礎知識を得られ、それを足がかりとして、さらに高度の専門知識を身につけられることをおすすめします。
末尾ながら記して厚くお礼申しあげます。
手形や小切手は、私たちの社会を支える有益な道具です。
その役割を正しく理解しておくことは、適切に利用するための第一歩になります。
同時に、手形、小切手の発達過程を振り返ってみて、現在の特質を把握し、どのような手形、小切手が実際に使われているかについて、一応の知識をもっておく必要があります。
手形は、おもに、さまざまな商取引を決済するために使われます。
物をつくり、サービスを提供する、といった多種多様な商取引は、おたがいに結びついて、果てしなく続いています。
こうした商取引をいちいち現金のやりとりで決済するとすればお札を間違いなく計算し相手方もこれを確認するという作業を、商取引ごとに繰り返さなければなりません。
これでは、商取引を迅速に処理することはできません。
そこから手形の利用が必要になってきます。
手形に取引金額を記入して、これをやりとりすることにより、取引の決済が完了できます。
金額がどれほどになっても、手形ならば、そのために面倒がふえるわけではありません。
手形による取引の決済は、現金決済と違って、手形に書かれた支払期日に、手形金額が支払われることにより完了します。
つまり、手形を受け取る人は、手形を渡した人に支払期日まで信用を与えている、言い換えれば、支払いを猶予してあげているわけです。
このため、手形による取引を信用取引ともいいます。
継続し、かつ繰り返し行われる商取引の決済に手形を用いるのはおたがいに信用を与えあっているとみることもできます。
実際の商取引の決済は、このような信用を基礎に成り立っているといえるのです。
したがって、手形を利用するメリットをおたがいに活用するためには、手形を支払期日にキチンと支払う必要があります。
そうしないと、かつて問題となったような黒字倒産騒ぎといった社会問題が起こらないとも限りません。
ビジネス社会で重要な役割を果たしている手形はさまざまなプロセスを経て流通します。
まず、手形は売買代金の支払いや借り入れなどの理由によって発行(振り出し)されます。
発行された手形は、さらにそれぞれの事情に応じて次から次へと譲渡(裏書)され、最後に支払いが行われて消滅することになります。
本書では、こうしたプロセスを順を追って説明します。
手形のうえになされるいろいろな行為を、手形行為といいますが、これは手形の種類に応じて違っています。
約束手形の手形行為には振り出し、裏書、保証の三種類、為替手形の手形行為には、そのほかに引受、参加引受を加えた五種類があります。
また、小切手の場合には、振り出し、裏書、保証、支払い保証の四種類になります。
それぞれの手形行為については、あとで詳しく説明しますが、手形にせよ、小切手にせよ、原則として、振り出しが、すべての手形行為の基礎になっていますから、特に基本的手形行為ともいわれています。
振り出しによって、手形や小切手が生まれるというわけです。
手形が取引の決済などに利用されるためには、簡便な流通(移転)の方法が必要であり、それが手形に認められている裏書による譲渡の方法です。
裏書によって手形は人から人へと渡り、その間にいろいろな取引の決済などの働きをしていきます。
そのほか、特別の効果をもつ特殊な裏書もあります。
手形の保証も普通の保証と同じように、手形の支払いを保証するものと考えてよいのですが、手形の流通を保護する観点から、一般の保証にくらべて、保証の意味がもっと強いといえます。
為替手形の場合には、一定の金額の支払いを振出人から支払人に委託する形式であり、支払人が手形の支払いを引き受けたり、支払い拒絶のときに支払いを引き受ける(参加引受)ことも行われます。
また、小切手には、支払い保証という制度がありますが、後述のように、実際には銀行は支払い保証をしないで、代わりに自己宛小切手というのを発行していますので、法律どおりには行われていないと考えてよいのです。
手形は、後述(Ⅳ章参照)するように、裏書という方法によって、人から人へと移転(流通)していき、その間に商取引の決済を果たしていく機能をもっています。
したがって、支払期日に手形を持っていて手形金額の支払い請求をする人(所持人といいます)がだれなのかは、手形の呈示を受けないと、手形の支払いをする人(約束手形の振出人、為替手形の引受人です)には分かりません。
手形の流通が盛んになると、銀行が、支払いをする人と支払ってもらう人の双方から、手形の決済事務を頼まれるようになり、この決済事務を便利に行うため、たくさんの銀行が集まって手形交換所というものを設けています。
銀行は、手形を支払ってもらう人つまり所持人から預かった手形を、手形交換所に持ち寄っておたがいに自分のところが支払いを委託された手形を交換し合い、手形の決済を行っています(Ⅸ章参照)。
小切手のほうが手形よりも多く利用されていますが、同様に手形交換所で決済されます。
わが国では、手形交換は明治十二年(一八七九年)から行われており、現在約七百ヵ所に手形交換所が設けられていて、手形・小切手の交換決済の仕事をしています。
ところで、物を売買する場合には、その物と引き換えに代金を支払うだけが販売方法ではありません。
割賦払いで毎月の支払額を手形金額とする約束手形を振り出させて、販売業者がこの手形を支払期日(償還月日)に呈示して支払い(返済)を受けることもできます。
自動車やピアノなど耐久消費財の販売によく利用されているマルゼン手形は、まさにそうした一般のニーズにこたえるための制度です。

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